遠くにピョンと飛び出た岩が見える (グラン・カナリア編を最初から読む) 制限時間の16時ちょうどに、エイド到着。 エイドに着くやいなや、自分がカットオフなのかどうかを聞くためタイムキーパー役の人を探す。 しかし見当たらない。 というか、スタッフも選手ものんびりしている。 ・・あれ? エイドスタッフに聞いてみる。 私 「ここの関門って、16時ですよね?」 スタッフ 「あー、そうだったわねー」 私 「・・? レース続けていいんですか?」 スタッフ 「もちろんよ! 頑張って!」 どうやら、ここのエイドには 制限時間でカットオフさせる役割の人がいないようだ。 ちょっと拍子抜けしたが、 カットオフを免れたようなので、ほっとする。 しかし、次に待っているのは約11kmの上り。 しかも、3時間以内に登らないといけない。 「Teror」から「Talayón」の6kmの上りに2時間以上かかったのに、ここに来て11kmを3時間以内で上るというのは厳しすぎる... が、四の五の言っても仕方ないので、とにかく進む。 「Garañón」は大きいエイドだから、なんか美味しい食事があるだろう、とポジティブな妄想をしながら上り始める。 ※このあともGoproでちょくちょく撮っていたが、帰国後にデータ消失してしまったため、ここからは文章のみ。 夕方になって風が強くなってくる。山が唸っている。 風のせいで、口に細かい砂が入ってくる。 首に巻いてたバフで口を覆ってみるが、そうすると今度は呼吸がしづらくて困る。上りだから息が上がってるし。 酸素のほうが大事なのでバフは外す。 砂を吸ってしまうので、定期的に口をゆすぐ。 登りながら、上のほうに変な形の岩があるなーと思ってたら、実際にそこまで行くコース設計になっていた。 ヌブロ岩(Roque Nublo)という有名な奇岩らしい。 それにしても、足がキツイ。 上るスピードが遅すぎて、景色があまり変わらない。 だんだん退屈してきたので、気分転換に短歌でも考えて、気を紛らわせることにする。 キツすぎる なんでこんなに キツイのか キツさの先に 待つヌブロ岩 ・・・。 どの方面からもまったく求められていない中、一首詠んではみたものの、なんか脳がムダにエネルギーを浪費しただけな気がする。 短歌のセンスの無さに愕然としながらも、 やっとのことで登っていくと、T字の分岐に遭遇。 次のエイドは右へ進んだ先にあるが、 まずは左にあるヌブロ岩へ行かないといけない模様。 岩場を登っていったりしながら、 巨大な一枚岩の先にあるヌブロ岩に18:30頃に到着。 スタッフがゼッケンチェックをしている。 見晴らしがいい。 が、風を遮るものがまったくない。風、強すぎ! スタッフも寒そう。この強風の中、ずっとゼッケンチェックをやってくれているのだから当然か。ありがたい。 帽子が風でふっ飛ばされるが、 間一髪のところでキャッチ。危ない。 ゼッケンチェック後、T字の分岐に戻り、先に進む。 制限時間の19時まで、もう時間がない。 しかも、あとは下りだけかと思ってたら、また上りだ... もはや死にかけの老人のような足取りだが、 「止まるな、止まるな」と言い聞かせて、1歩1歩上る。 ようやく上りが終わって、下りへ。 下りは、ストック使えば着地衝撃を吸収できるので、 足の痛みをごまかしながら、それなりの速度で走る。 上りでは他のランナーにこれでもかと抜かれたが、 下りでは抜き返していく。 しかし、その途中で制限時間の19時を過ぎてしまう。 だが、さっきのエイドのように、制限時間を過ぎてても先に行かせてくれる可能性がないわけではないので、一縷の望みにかけてスピードを緩めず下り続ける。 結局、第8エイド「Garañón」には19:20頃に到着。 スタッフがコースロープを片付け始めていた。 「もしかしたら、まだレースを続けられるかも」と 淡い期待を抱いていたが、到着するなりスタッフに、 「Finish」 と告げられる。 レースを続けたかったという悔しさと、これから朝5時までこの足で暗闇を走り続けなくて済むという安堵感が、ないまぜになった気分。 「3回もロストしなければ...」とか、 「Gopro撮りまくってなかったら...」など、 タラレバなことが頭に浮かぶ。 (とりあえず食事でもするか…) と思って小屋に入ろうとすると、 「リタイア者のバスがすぐ出発するから」 ということで、スタッフに誘導されて バスの乗り場へ行くことに。 預けていたドロップバックを引き取りたかったが 「ゴール会場で渡すから」とのことで、もらえず。 ただ、パスタ、温かいスープ、紅茶を手渡してくれた。 おぉ、このレース初の温かい食事だ! バスに乗って、おいしく頂いたあと、爆睡。 精魂、尽き果てた... 22時頃にゴール会場「Expomeloneras」に到着。 ゴールゲートのほうを見ると、 選手がゴールしてくるのが見える。 完走おめでとう! 建物の中で、まずドロップバッグを引き取る。 しかし、ゴール地点の袋しか引き取れず。 Garañónのドロップバックはまだ着いておらず 明日の10時から渡すとのこと。 その頃、もう飛行機に乗ってるんですけど…。 どうしよ。 困ったが、とりあえず、 レース前日にも食べた所で、食事をすることに。 自分はコーラしか飲まなかったが、ハイネケンのブースがあったので、ビールも飲めたのかもしれない。 食後は、着替えたり、荷物を整理したり。 建物の入口近くにブルーシートが敷いてあって、 横になって寝れるようになっていた。 そこは既に埋まりつつあったので、 近くの空いてるテーブルに突っ伏して、耳栓して寝る。 ぐっすり寝て、朝5:30頃に起きる。体がガチガチ… 5時でレースが終わってるので、 辺りはすっかり静かになっていた。 10時にならないとGarañónのドロップバッグを引き取れないと言われていたが、中にはSDカードなど捨てる訳にはいかないモノが入ってるので、ホールにいたスタッフに事情を話してみる。そしたら引き取れた! 6時前に会場を出て、歩いて宿に戻る。 宿に預けていたスーツケースを引き取り、 7時発のバスに乗って空港へ。 早朝で道が空いてたので、7:50頃に空港に到着。 10時の便でグランカナリア島を発ち、帰国の途に就く。 いつかまた来よう! <レースのまとめ> ■スケジュール 火曜 仕事後、深夜に成田発 水曜 ドーハ経由でマドリード着 木曜 マドリード→グランカナリア。受付 金曜 Santelmoからバスで移動。23時開始 日曜 朝5時レース終了。午前中に出国 月曜 夜に成田到着 受付はレース当日もやってるので 現地に金曜朝に到着でも、走ることは可能。 それであれば水曜夜の便でも間に合うはず。 レース後は、日曜午前の便で現地を発てば、 月曜夜に東京に戻ってこれます(表彰式は出れない)。 超最短日程で考えると、 木・金・月曜の平日3日間の休みで参加は可能です。 ■宿泊先 「MRC Maspalomas Resort」 コスパはいいけど、ゴール地点(Expomeloneras) からちょっと離れているのがネック(約3km)。 できれば、ゴール地点の近くで宿を確保したい。 スタート地点への送迎バスもここから乗れるので。 ちなみに、送迎バスの乗車場所は 大会エントリー時に選択するようになってます。 私はよくわからず、適当にSantelmoにして失敗… レース前に宿を探してた時は、ゴール地点に近い宿だと、1泊2万円以上のところしか見つからなかったけど、AirBnBに良さそうな部屋があることにあとで気づいた。 AirBnBに抵抗がなければ、そのほうが良さげです。 ■費用 ・参加費(食事・バス代込):2.1万円(149€) ・航空券:7.1万円(東京⇔マドリード)、 1.9万円(マドリード⇔グランカナリア) ・宿泊(グランカナリア) : 約6000円(木曜1泊だけ) ・島内交通費 : 約1700円 (バス3回:空港→宿、宿→サンテルモ、宿→空港) 合計:約12万円 マドリードで泊まったのは個人的に観光したかっただけなので、それを除くとトータル12万円くらい。 ヨーロッパ行き航空券は、カタール航空のセール中に買えたので、かなり安く済んだ。 マドリード⇔グランカナリアは、 LCC(Air Europa)なので、いつも安い。便も多い。 島内移動はタクシー使えばもっとお金かかるだろうけど、バスで十分。 ただし、車内アナウンスがないので、降車地は事前に調べておいて、スマホのGPSで現在地をチェックして、自分の判断で降りられるようにしておく必要あり。 ■レース中のメモ ・エイドの食べ物は少なめ(Garañón以外)。エイドをあてにしないで、食料は自分でしっかり用意する ・コースフラグは狭い間隔でたくさん設置されているので、見落とさなければロストはしない。ただ、風でフラグが支柱にくるくるっと巻き付いていて、わかりづらいことが多々あった。特にロードからトレイルに入るポイントは要注意。 ・遅いランナーは、ナイトラン2回になるので、睡魔対策はしっかりと。 こんなところですかね。 トランス・グランカナリアは、 とにかく景色が素晴らしかったです! ぜひ行ってみてください! < 戻る |
by おすもーさん
<海外レース>
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11月 2017
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