食堂。食べてくか… (レユニオン編を最初から読む方はこちら) 着替え終えて、ドロップバッグを片手に出口に向かうと、奥に食堂があることに気づく。 ドロップバッグに入れてた補給食を食べていたのでお腹は空いていなかったが、せっかくなので食べていくことにする。 ここの制限時間は18:15。 貯金は約2時間あるので余裕があると思っていた。 しかしこんな余裕をかましてる場合じゃなかったと あとで思い知ることになる。 肉、マカロニ、ミルク、バナナ、オレンジ。 率直な感想を言うと、 時間をロスして食べるほどのものではなかった。 次はレース直前に変更された区間。 約9kmで1268mアップ。強烈! エイドを出てロードを上り始めると 強烈な陽射しですぐに汗だくに。 また水切れにならないように、 暑いけど慎重に水を飲んでいく。 太陽がこれでもかと照らしてくる! 車から応援してくれる方がたくさんいた。 一旦過ぎ去ったあと、バックで戻ってきて わざわざ声をかけてくれる方も。 ありがたい! 70km地点の「Le Bloc」を 17:04通過。 このときの順位は1442位。 ここから本格的な上り。5kmで1091m上る。 凄まじい! いい眺めだ~ 段差の大きい階段が延々続く。 こういうの苦手… たまに左手に夕暮れの景色が見える。 上りで疲れた心が癒やされる。 かなり日が暮れてきた頃に、 水を補充できる地点が現れる。 さっきまでの酷暑が嘘のように一気に涼しくなってきたので、レインウェアを衣装内に着込んで、ライトを装着。 もうすぐ日が暮れる… 前のエイドから3時間経過。 上っても上っても上っても上っても、終わらない。 どこまで上っても階段が続く。戦慄の上り。 正気の沙汰じゃない。 果てしなくエンドレスな階段。意味がわからない。 どうなってんだこれは! なんなの! 途方に暮れながら上り続ける。 心が… へし折れそう… 日が暮れてしまった。まだ着かないのか… 前のエイドから4時間経過。 どこまで上っても、いつまでも階段が続く。 もうやめてくれー!(魂の叫び) 明るいうちは、疲れては左手の良い眺めを見て現実逃避できたが、夜になりそれも許されない。 ただひたすら階段に向き合うのみ。 上を見るとまだまだ道が続いている。震撼の上り。 自分はでかい段差の階段が心底苦手だと 骨の髄まで思い知らされる。 UTMBは168km、9618m D+、46.5時間。 レユニオンは172km、約10000m D+、65時間。 距離と累積標高はほぼ同じなのに 制限時間が違うのは、こういう上りがあるからか! レース前は完走する気満々だった。 その甘い事前予想を懺悔したい。 すみません、舐めてました… 許してください…! UTMBの借りをここで返すつもりで臨んでいたが そんな意気込みも全部吹っ飛んだ。 吹っ飛んだ! 見事に返り討ちに遭い、悶絶する羽目に。 控えめに言っても狂気、 控えめに言わなければ地獄。 そんな上り。 上から選手ではない地元の方が軽やかに下りてきて 声をかけてくる。 地元「エイドまでまだ距離あるから。頑張れ!」 私「お、おぅ…(えっ、まだ遠いの!?)」 うれしくない情報を入手し、 ポキッ 心が… へし折れる音が… 聞こえる… 一体どこまで登らせれば気が済むんだ。 まさに鬼畜の所業! 完全にへろへろになり、ちょっと登っては、 (あ、ダメだ、むり) と休み、休んでるから抜かれ、また登り、休む。 誰一人抜くことはなく、ゴリゴリと抜かれるのみ。 泣ける… しかも暗くなったせいか、徐々に眠くなってくる。 初日の夜も眠かったのだから、 2日目の夜も眠くなるのは仕方ない。 まだ眠気は弱いのでなんとかなるが、 この夜はどこかで寝ないと乗り越えられなそうだ。 これまで数々のトレランレースに出てきたけど、 文句なしで断トツ1位の衝撃の上りだった。 「常軌を逸した」とはまさにこのこと。 レユニオンの本気を見た。 完全に死んだ目で、しょぼくれた表情をしながら 疲労困憊の足でよろよろと上り続けた… 74kmの「Gite du Piton des Neiges」に20:47到着 前のエイドから4時間半。
ずっと上り続け、ようやくたどり着いた。 長かった… このエイドの明かりが見えた時は本当に嬉しかった。 ここでの順位は1622位。 登っている間に180人に抜かれたことになる。 どんだけへばってたんだ、オレは… エイドは水とコーラだけ。 (これだけ…?) と思ったら、後ろ側に山小屋があった。 ここの制限時間は22:30。 貯金は2時間を切っている。 上っている最中は「もう終わった…」と思っていたが かかった時間の割に、さほど貯金は減っていない。 しかし眠い。 時間的にはこのまま突っ込まないといけないが 山で眠くなるのは危険。 なので、ここで寝ることにする。 寝れば多少は足も回復するだろうし。 次の関門は8.5km先で、制限時間は0:45。 ここからは下りだから、急げば2時間で行けるはず。 ギリギリまで寝よう。 山小屋に入る。選手はほとんどいない。 イスに座って寝るか、床に寝っ転がるか。 横になったほうが体が休まりそうだと判断し、 後者を選択。 空気枕・ウルトラライトダウン・レインウェアを 小屋の隅の床に置いてクッションにする。 22:10にアラームをセット。 アイマスクと耳栓をして横になる。 (前のエイドで食堂行かなきゃ良かったな…) と思いながら、眠りに落ちた。 |
by おすもーさん
<海外レース>
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11月 2017
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