シャモニーへ! UTMB。 ウルトラトレイル・デュ・モンブラン― 言わずと知れた、世界一有名なトレランレース。 トレイルランを始めてから2年半。 この舞台にやっとたどり着いた。 抽選の当選確率が50%なのだが、運良く1発で当選。 かなりラッキーといっていい。 UTMBは日本から毎年たくさんの方が参戦するので レースのことは話にも聞くし、ブログでも読んだ。 で、いろいろ情報を集めていった結果、 自分の中での「UTMB」の印象は、 (UTMFよりは大変だが、まあ完走はできるだろ…) という感じだった。 油断は禁物だけど、なんとかなるだろうと。 そんなある日。 UTMBのレース工程表を作成していて、ふと 「仮装でUTMBに行ってみてはどうか」 というアイデアが頭に浮かんだ。 これまで、仮装で走ったのは4回。 ハーフ、フル、100km、250km。 すべてロードで、トレイルを走ったことはない。 海外の100マイルレースは初だというのに、仮装。 これは訳がわからない。 完走の可能性は著しく下がるだろう。 一体どうなってしまうのか、さっぱり読めない。 (これはいいじゃないか。ワクワクすっぞ!) 普通の恰好で走れば、おそらく無難に完走するだろう。 でも、面白みにかける。 それなりに頑張って、それなりに完走する。 凡庸だ。つまらない。 できそうだとわかっていることを わざわざ海外に行ってまで、やる意味はあるのか。 どうせなら、できそうもないことに チャレンジしたほうが面白いんじゃないか。 せっかくUTMBを走れるのだから 仮装でチャレンジしてみよう。 レースの1週間前に急遽、仮装で走ることを決めた。 その顛末はいかに― _ _ _ 仕事が立て込んでしまい、 日本を発ったのはレース前日の木曜朝。 北京で乗り継ぐ。 そして、この北京からの便でピンチに陥る。 窓側の席に座っていたんだけど、 隣の男性が恐ろしいほど咳き込んでいる。 だいたい10秒に1回はゴホンとやっている。 日本人ではないので、当然マスクなどしていない。 しかも、うしろの老夫婦も2人揃って咳き込んでいる。 こちらは30秒に1回ずつのペースだ。 ゴホッ......グフ..ガッゴホッ..ガッ..グフゴホッ... ちょっとしたヒューマンビートボックスが 私の周囲で繰り広げられている。 こんな怒涛の咳の中に10時間もいたら 間違いなく風邪をうつされる。 マズイ。 こんなところで風邪をもらったりなんかしたら UTMBの完走は絶望的だ。 レーススタート前からこんな試練に襲われるとは。 さすがUTMB。 この圧倒的に追い込まれた状況の中、 考えうる最強の防御術で対抗する。 ・2重でマスク。外側は3時間に1回交換 ・15分ごとにアラームかけて、水を少しずつ飲む ・2時間に1回はトイレでうがい 空の上で、これ以上ないディフェンスを展開する。 こんなところでウイルスに負ける訳にはいかない。 当の咳してる3人は優雅に寝ながら咳しまくってたが こちらは一切の油断をせず、10時間戦闘モード。 そうこうして、18:30にジュネーブ空港に到着。 今のところ喉に違和感はない。ほっと胸をなでおろす。 まるで完走したかのような達成感を感じながら、 飛行機を下りる。 スーツケースも無事にロストすることなく回収し マウンテンドロップオフの車に乗って、宿へ。 1時間15分で宿に到着。 この宿は受付がない仕組みのようで、 入口のホワイトボードに部屋割りが書いてあった。 部屋は清潔でなかなか良い。 スタートは明日の夕方だから、 荷物整理は明日やることにして、とりあえず寝る。 レース当日。 5時頃に目が覚める。 外は軽い小雨。涼しいが、寒いというほどでもない。 気温は、10度ちょっとくらい。 6時を過ぎると、空が明るくなってくる。 昨夜は20時前まで明るかったから、かなり日が長い。 体調は良い。 昨日の午後から少し腹痛だったが治ったようだ。 たぶん北京のラウンジで食べた生野菜が原因だな。 喉にも異常なし。 あの防御術が功を奏したようだ。 8:30頃に朝食。 シリアル、パン、オレンジジュースなど。 シャワーを浴びたあと、 荷物を整理して10時に宿を出る。 バスに乗る予定だったが、受付会場まで4kmくらいなので、準備運動がてら、歩いて行くことにする。 すると、歩き出して1kmもしないうちに、 若いお兄さんが車から声をかけてきて、乗せてくれた。 TDSを完走して、これから彼女がUTMBを走るらしい。 いいね~ 10:40に受付会場のスポーツセンターに到着。 受付開始は11時なので、20人くらい並んでた。 荷物検査では指定されたモノを見せていく。 すると、なんとヘッドライトが点灯しない! (えっ、家で確認したのに...) と思いつつ、予備のライトを見せて事なきを得る。 備えは大事。危うく買う羽目になるところだった。 荷物を整理していると、 「電池を借りてもいい?」 同い年くらいのアジア系男性が話しかけてきた。 去年、UTMFを走ったらしい。自分と一緒だ。 参加賞のTシャツとゼッケンをもらって 手首とバッグにバンドを巻いてもらって受付終了。 今年は20ユーロのデポジットは必要ないようだ。 今回、宿泊はレース前日の1泊のみ。旅費節約。 レース終わったら、着替えた後に空港へ直行し 空港でシャワーを浴びて、帰る予定になっている。 早くリタイアした場合は、現地で宿を探すことにした。 問題はレース中のスーツケース。 チェックアウト後に宿に預ければいいんだけど、今回の宿はシャモニーから遠いので、レース後に宿に移動して引き取るのが面倒くさい。 そこで日本を発つ前に、スーツケース等の荷物を大会側で預かってもらえるのか、問い合わせをしていて 「預かるよ!」 とメールで返信をもらっていた。 受付が済んだ後、日本人向けの案内デスクで、 荷物を預けられる場所はどこかを聞く。 すると、荷物は預けられないと判明! そんなバカな・・ また宿に戻って荷物を預けるのは面倒臭すぎる。 どうしよ。 呆然と立ち尽くしていると、話していた女性スタッフの友人の知り合いのホテルで預かってもらえるように手配してくれた。 助かった! ありがとうございます! ここを通ってゴールに向かうんだな~ 12時頃に「パスタパーティ」。ビールあったけど我慢 食後にブースをぶらぶら ここが、かの有名な「ホテルALPINA」か... 12:30頃に受付会場に戻って、レースの準備を始める。 なんだかんだで2時間かかった。 このレースでは、中間地点のクールマイヨールで ドロップバッグを引き取れる。 完走の可能性を上げるには、 「クールマイヨールから仮装する」 ほうがいいのはわかっているが、それはしない。 そもそも誰に頼まれたわけでもなく仮装するのに、 「完走はしたいから、途中から仮装」 なんて、姑息だ。 女々しいというか、あざとい。 そんなことなら、やらなければいいのだ。 やるならスタートからゴールまで。 途中でくたばったら、それまでのことだ。 潔く散ろう。 ドロップバッグがこれだけ並ぶと壮観 スーツケースを教えてもらったホテルに預けたあと 受付会場に戻って、空いてる場所で横になる。 これから2日間、寝れないからね。 外は雨が降ったり止んだり。 常に雲があるので、いつ崩れてもおかしくない。 16時に起きて、お相撲さんになってみる。 お腹はかつてないほど巨大に膨らませて、 フランスの人々をビビらせることにする。 すると腹がでかすぎてバッグの腰ベルトがしまらない... 胸のほうはなんとかしめられた。 まあ、レース中はほとんど歩きだから バッグはそこまで揺れないだろう。問題ない。たぶん。 力士でシャモニーの町中を歩くと目立ち過ぎるので スタート前に変身することにして、一旦脱ぐ。 16:20に受付会場を出て、スタート会場へ。 町中を歩いてスタート地点へ スタート1時間前だというのに、ものすごい人。
完全に押しくらまんじゅう状態。 2時間前の時点で、かなり並んでたそうだ。 早すぎ... |
by おすもーさん
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11月 2017
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