朝焼け! (サハラ編を1話目から読む) 4:50に起きる。よく眠れた。 5日目なので朝の準備はもう慣れた。 淡々とルーティンをこなしていく。 いつも通りギリギリまでテントに座り、 スタート直前にバッグを背負う。 今日はオーバーナイトの日。距離は86km。 これまでは遅くとも14時までにゴールしてきたので それ以降の時間帯の暑さを経験していない。 どのくらいの暑さになるんだろうか…。初体験。 今回のレースにはNHKのカメラマンが来ていて ペナルティのワッキーを撮影している。 今日はワッキーが最前列からスタート。 前方のワッキーを眺めながら、自分も走り出す。 今日は距離が長いので、ややゆっくり目に進む。 しかし他の選手も同じことを考えていて、みんな遅い。 その結果、最初の20分くらいは トップ集団5人のうしろを走ることになる。 トップ集団はものすごく早いわけではないけど、 路面状態にかかわらず、進むスピードが一定。 自分はソフトサンドや上りは歩くので、 その度に少しずつ距離が離れていく。 先頭集団から離れると、 うしろから次の集団5人に追いつかれる。 そのうしろを走っていると、9kmのCP1に到着。 周囲の選手は、あっという間にエイドを出発。 自分は空のボトルを満タンにするので遅い。 出発する頃には、集団はかなり前のほうを走っていた。 (エイドの滞在時間をもっと短くしないとダメだ…) 走りながら考える。 エイドでは、そこでしかできないことだけやって すぐ出発するのがポイントだ。 食べたり、ボトルに粉を入れたりするのは 走行中にやればいい。 ゆっくりでも進んでいれば距離を稼げる。 そこで次のエイドから、こんな手順で行くことに。 1.エイドが見えたらアミノバイタルとショッツを飲み、ゴミを手持ち。 2.ボトルにエレクトロライトの粉末を入れておく。 3.エイドに着いたら、まず空のボトルをスタッフに渡し、ゴミを捨てる。 4.霧吹きを借りて、自分で霧をかける。スタッフにかけてもらうより、自分でやったほうが高速でかけられる。できれば2つ借りて両手でかける。 5.ボトルに水を入れてもらったら、続いてプラティパスを渡して水を入れてもらい、バッグのサイドポケットにさしてもらう。 6.出発 今日はCPの度にアミノバイタルを摂取。 まあ、たくさんとったからといって 疲労が回復するわけでもないけど… 前にも後ろにも選手がいる、ゆるい集団の状態で 19kmのCP2に到着。 ここは観光地らしく、 建物の中にエイドが設置されていた。 ちょっと涼しい。 CP2を出ると、鯨の骨が道端に転がってた。 骨を見ても何の感慨もわかない… CPを出て1kmくらい走ってから、 さっきプラティパスの水を補給し忘れたことに気づく。 間の悪いことに、この区間はdifficult。 気温も一気に上がり 途中で水切れしそうになる。 完全に水がなくなったらゲームオーバーなので ちびちびと水を消費していく。 水が切れる寸前のところで、28.7kmのCP3に到着。 あぶなかった。 ここまでかぶり水をしないで来たので、 テントで霧吹きしまくる。頭と足を冷却。 このCPには10分滞在して、 体が落ち着いてから出発。 今日は先が長い。焦る必要はない。 3日目のような熱中症状態にはなりたくないので 一定間隔で頭に水をかけるのを心がける。 ふと気づくと帽子をかぶっていないことに気づく。 さっき頭に水をかける時に帽子を脇に挟んでいて、 知らぬ間に地面に落としてしまったらしい。 100mくらい戻ると、 コースからだいぶ離れた場所に帽子を発見。 風で飛ばされていた。 慌てて追いかけて、空中でキャッチ! 帽子は脇に挟まないで、 ポケットに入れるようにしよう… 39kmのCP4を通過すると、 砂丘の稜線を進むコースになっていた。 眺めがいい! そこを下ってからは、だだっ広い場所をひたすら進む。 午後はやはり暑い。 飲んでも飲んでも喉が渇く。 走ると自ら発熱してしまうので、 気温が下がるまで、歩きを多くする。 周囲のランナーが固定されてくる。 青シャツのフランス人と、 黄シャツのブラジル人と何度も前後する。 49kmのCP5に到着。 頭に水をかけるときに、 うっかり靴にもかけて濡らしてしまう。 やってしまった。乾くかな… 青と黄はCP5以降はずっと歩いていた。 私がたまに走ると追い抜き、歩くと抜かれる。 海外ランナーは足が長いので歩きでは負ける… 徐々に風が強くなる。 暑さが和らぐ気がするので無風よりはいい。 ただ砂が顔に当たるし、口を開けてると入ってくる。 15時頃。たらたら歩いてるときの動画 60kmのCP6に到着。 足がすんごい熱を持っていてヤバイので、 高速でプシュプシュと霧吹きをかけまくる。 必死にプシュッていると、 うしろから日本女性選手(以降Sさん)がやってくる。 このレースで初めて日本人ランナーに追いつかれた。 すぐ出発していったSさんを見送りつつ、 私は全力でプシュり続け、10分後に出発。 走りと歩きを半々くらいで進んでいくと、 なぜか歩いていたSさんに追いついてしまう。 Sさんは小柄なので、 背負っているバッグが大きく見える。 私 「走らないの?」 Sさん 「風が強くて・・」 そこから並走していくことに。 写真撮ってもらったり、過去のレース歴を話したり。 レース中に日本人ランナーと話すのは 初日のスタート直後以来。 日本語で話せると気分転換になるね。 しばらく談笑しながら走っていると、 うしろから抜かれることが増える。 私の走るペースが遅くなっていることに気づき、 ソフトサンドに入ってから、Sさんに先に行ってもらう。 Sさんは風のようにサーッと走っていき、 瞬く間に前方にいた海外ランナーを抜いていった。 はやっ! 68kmのCP7を通過。 16時頃から気温が下がり始め、風も吹いているので、 かけ水を頻繁にしなくても走れるようになった。 とはいえ、足が疲れているので 適宜、歩きを交えながら走っていく。 日が暮れた… 17:30からヘッドライトをつけて走る。
コース上には黄色いガイドがポンポンと置いてあり、 それに沿って進んでいく。 コースガイドの明かり以外には、人工の明かりはない。 ライトで照らした場所以外は何も見えない。 景色ゼロで暗闇を淡々と走っていると、飽きてくる。 そこでこのレースで初めてipodで音楽を聞く。 これは良い判断だった。 気を紛らわせるものがあると、めげずに走れる。 ナイトランにはもってこいだ。 ライトを消すと星空が見えることに気づき、 安全な道ではライトを消して星空を楽しむ。 77kmのCP8に到着。ここが最後のCP。 私 「ゴールまであと何キロですか?」 スタッフ 「18kmよ」 私 「えっ! そんなにあるの!?」 スタッフ 「冗談よ! 9kmだから。頑張って!」 というやり取りをして、エイドを18:30に出発。 今日の行動食は カロリーメイトとショッツ6コずつの計画。 CP8を終えて、残りはカロリーメイト1つのみ。 ギリギリだったな… 最後の区間はソフトサンドが多い。 もう暑くないので気力を振り絞って走るものの、 いまいちスピードが出ない。 クエン酸の飲み過ぎなのか、ゲップがよく出るので 胃薬を服用。このレース2回目。 すぐにゲップはおさまった。 効果テキメン。 音楽を聞きながら暗闇を走り続けていると、 遠くにぼんやりとした明かりが見えてくる。 (ゴールだ…!) まだ距離はあるが、目標を見つけスピードを上げる。 徐々に太鼓の音が聞こえてくる。 やっと長い1日が終わる! そして20時前にゴール! ゴールそばのテントで喜びに浸っていると、 黄がゴールしてテントにやってくる。 「Hi!」と声をかけ、ハグして健闘を称え合う。 黄のハグが力強すぎて、 胸のボトルが圧迫されて水が吹き出したけど! こういうのっていいね。レースって感じ。 誰もいない自分のテントに荷物を置いたあと、 先にゴールしていたSさんとおしゃべり。 CP7以降も走り続けて、 Sさんは女性2位でゴールしていた。 彼女と別れてからの18kmで50分も差がついた。 これが地力の差… さすがに疲れたので、寝ることにする。 足がジンジンするというか、 脈打っていてなかなか眠れない… いつの間にか眠っていて、23時頃に起きると 日本人ランナーが帰ってくるところだった。 再び寝る。 今日は疲れた… < 戻る 次へ > |
by おすもーさん
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11月 2017
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