(UTMB編を最初から読む方はこちら) Arnuvaは制限時間のあるエイド。 時計を確認すると、貯金は30分に減っている。 とはいえ、クールマイヨールで貯金45分だったし、 昼寝もしたし、暑くて走ってなかったのを考慮すれば こんなものかなという気もする。 足は重いが、体調は悪くないので それほど焦ることもなく。 エイドは8分の滞在で、すぐ出発。 レース最高地点(2527m)を超える フェレ峠に向けて上り続ける。 無駄な力を使わないように、フォームを意識。 上を見ても絶望するだけなので 目線を落として、前の選手の足の動きだけを見て進む。 前の選手のふくらはぎが自分の太ももくらいあり、 「どんだけ鍛えてるんだ...」 と思いながらゆるゆる進んでいた時、事件は起こった。 右手で「カラッ..」と音がしたと思ったら、 目の前を右から左へ灰色の物体が物凄いスピードで通過 最初、灰色の動物が横切ったのかと思って、 「あぶねーな。ぶつかるとこだったじゃないか!」 なんて思っていた。 そのまま前に進もうとしたら、前のランナーが、 「大丈夫? ケガない? 当たってない!?」 すごいテンションで聞いてくる。 どうやらさっきのは落石だったようだ。 間一髪、当たらずに済んだが、下手すりゃ死んでた。 もし落石が当たって死んでたら、NHKなんかで 「世界的に有名なトレイルランニングレースUTMBで 日本人男性がレース中に落石により亡くなりました。 この男性は力士の仮装をしていたそうです。」 「なぜそんな格好をしていたのでしょうか...」 「さぁ… 謎ですね…」 こんな放送がされたのかもしれない。 我ながら不謹慎だけど、ちょっと笑える。 「ご冥福をお祈りします...」 と話すアナウンサーも半笑いに違いない。 普通であれば、 「あぶねー! 死ぬとこだったぜー!」 なんてビックリするようなところなのだが、 登ることに集中していたこともあり、 「当たらなかったんだから問題ない。さあ上るぞ」 すごく冷静な心境だった。 私の前後のランナーのほうが騒いでいた。 右手の山側を見ると、さっきの岩につられたのか、 もう1つ落ちてくる。やっぱり落石は続きやすい。 山からの落石にも注意を払いながら登っていく。 頂上っぽいぞ! 101km地点の「Grand Col Ferret」に19:35到着。 そこまで上りが長いとは感じなかった。 事件があったからかもしれない。 まだ明るいので、谷側の景色が素晴らしい! 下りに入る この辺りで、右ポールのストラップが取れてしまう。 ポールがなくなったら完走は絶望的なので、 うっかり谷に落とさないように、右はしっかり握る。 20時頃でも明るい。 そして、涼しくなってきた。 周りの選手は上着を着始めたりしているが、 お相撲さんにとっては、ちょうどいい気温だ。 しっかり走って、下りで貯金を増やさねば。 あれっ、もうエイドか? チェックポイント「La Peule」を20:13通過。 ここが次のエイドかと一瞬思ったが、違った。 いくらなんでもそんな早く着くわけない。 エイドではないが、給水はしてくれた。 もうすぐ日が暮れる。 真っ暗になる前に次のエイドに着きたい。 辺りが暗くなっていく中、 ゆるい下りを頑張って走り続ける。 108km地点の「La Fouly」に21:23到着
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by おすもーさん
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11月 2017
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