ボンノム峠を越える (UTMB編を最初から読む方はこちら) 引き続き上り。 お腹が足の邪魔をしていた状態は解消された。 しかしすでに足はかなり疲れてしまっている。 エアサロンパスをかけたいところだけど、 力士の衣装を一旦脱がないとできない。 手間とタイムロスを考えると、する気になれず、 そのままよろよろと上り続ける。 上を見上げると ランナーのヘッドライトの明かりが連なって幻想的。 と同時に、 「あそこまで上るのか…」 遙か先まで登ることがわかってしまい、萎える。 峠の山頂に3:05に到着。 ようやくお腹がしぼみ始めて、動きやすくなる。 しぼんでくれたおかげで、バッグの胸と腰のベルトを両方とも閉められるようになった。 走ってもバッグが揺れない! 当たり前のことに感動しながら、下っていく。 49km地点のエイド「Les Chapieux」に4:16到着。 水を補給してくれた女子2人組に、 「そのコスチューム好きよ♡」 と言われて、テンションが上がる。 スープで温まる ぐったり... まだ50kmだというのに足が重すぎる。 イスに座ってスープを飲みながら、自分でマッサージ。 ここまで関門時間を気にすることなく進んできた。 ここで初めて確認すると、 制限時間まであと15分しかない! まあ、焦ったよね。 1時間は余裕あるだろうと勝手に思ってた。 慌てて食事を済ませて、準備を整え 制限時間まで残り9分でエイドを出発。 こんなに追い込まれていたとは… 急がないと、次の関門に間に合わない! セーニュ峠へ しばらくゆるいロードの上りが続く。 足が元気であれば、サクサク早歩きできるところだが、 (あ、足が重い…) ハムストリングスに力が入らない。 使いきっちゃった感じ。 足の長い海外ランナーだけでなく、 日本人にもどんどん抜かれる。 ピッチを速めることができなくなっているので 止まらないことだけを意識して、のそのそ進んでいく。 5:30過ぎ。明るくなってくる。景色が綺麗! 7時を過ぎる。 相変わらず、どこまでもゆるい上りが続いている。 日本人ランナーに抜かれるときに、 「次の関門は厳しいですかね…」 なんて話をした。ネガティブ思考… 距離表示がないため、 いつ上りが終わるのかわからず心が折れていた。 足が重すぎるので、7:20頃に座って休憩する。 ついでに、ヘッドライトを外してGoproにつけ代える。 横を通り過ぎる海外ランナーから 「Sumo-man!」 「大丈夫か?」 「頂上はあと少しだと思うぞ」 「ほら、座ってないで進もうぜ!」 次々と声をかけられる。 UTMBはレースではあるが、 私は他の選手と競っているわけではない。 周囲のランナーは、一緒にゴールを目指す仲間だ。 海外ランナーとの連帯感を感じて、 少し元気を取り戻し、再び歩き始める。 綺麗な空 うしろを振り返る セーニュ峠にやっと到着。7:33。 前のエイドから3時間かかった... 次のエイドまでどれくらい?と尋ねたら、 「15分! 15km!」 と言われる。どっちなの…? 次のエイドまで15kmなわけはないから 15分でエイドに着くのだろう。たぶん。 15分ならあと少しだ。 頑張って下ろう。 ほとんど人のいない山小屋を通過 セーニュ峠を早送りで 頂上から15分経ったが、 ちっともエイドらしきものは見えてこない。 よく考えたら、前のエイドを制限時間ギリギリに出発して、そのあともカタツムリのようなペースで進んできたんだから、次のエイドも制限時間ギリギリに着くはずだ。 次のエイドの制限時間は8:30。 1時間は下ることになりそうだと覚悟する。 ただ、景色が素晴しいので気分は良い。 8:30に近づくが、一向にエイドが見えてこない。
(こりゃ、もう間に合わなさそうだな・・) と思ってたとき、遠くに白いテントを発見。 テントの10m手前にスタッフらしき男性が立っていて 時計をしきりに確認している。 あそこがエイドだ! 64km地点のエイド「Lac Combal」に8:25到着。 制限時間5分前。 制限時間までにエイドに入ればOKなのか、 それまでにエイドを出ないといけないのかわからない。 UTMFは確かエイドを出ないといけなかったはず。 UTMBも同じだろうか? エイドには15人くらいランナーがいるが、 急いでる様子が全くない。 正しくは、時間までにエイドを出ないといけないんだけど、周りの雰囲気から出る必要はなさそうだと判断する。 お尻の筋肉痛がひどいので、 力士の衣装を脱いで、エアサロンパスを入念にかける。 再び衣装を着て、出発の準備をしていると スタッフがやってくる。 「制限時間を過ぎてるぞ。もう終わりだ」 と、いきなり言われる。 気づくと、いつの間にか選手は自分だけになっていた。 私「えっ、終わりですか?」 スタッフ「8:30を過ぎてるからな」 私「わかりました...」 スタッフ「2分で準備しろ」 リタイア者の送迎車がすぐ出発するのだろうと理解し 衣装を脱いで荷物をまとめて、車に乗る準備をする。 身支度を整え、送迎車のほうへ歩いていくと 「君・・、その格好で走るのか?」 と言われる。 ??? 何を言ってるんだ? 意味がわからない。 しばし考えたのち、 自分が誤解していたことに気づく。 先ほどの会話は、正しくはこうだったのだ。 スタッフ 「制限時間を過ぎてるぞ。もう終わりか?」 私「えっ、終わり?」 スタッフ「8:30を過ぎてるぞ」 私「わかりました」 スタッフ「(レースを続けるなら)2分で準備しろ」 制限時間は過ぎてるけど、すぐ出発するなら見逃してやる、ってことだったのにレース終了だと勝手に勘違いしてたんだ! ここで、再び衣装を着て走りだすことはできた。 しかし衣装を脱いで、 「レース終わった・・」 と気持ちを切ってしまっていて、再び走る気になれず。 まあ、メンタルが弱いということなんだろう。 仮にレースを続けていたとしても、腹に足が当たるアクシデントで足が消耗しすぎていたのでクールマイヨールまで行くのが精一杯だったと思う。 完走できるような状態ではなかった。 とはいえ、なんとも後味の悪いレースの終わり方になってしまった。 英語力のなさがこんな所で響くことになるとは... 何はともあれ、スタッフにゼッケンのタグを切り取られ 私のUTMBは64kmで終わった。 |
by おすもーさん
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11月 2017
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