後半もゴール前までひたすらフラット (佐倉マラソン前編はこちら) ハーフ地点を1時間40分で通過。 残り半分を1時間50分で走ればサブ3.5達成だが、 このときは、 「10分しか余裕がないのかー」 と思っていた。 終盤の落込み次第ではサブ3.5は厳しいかもしれない。 22kmのエイドで、またもクロワッサンが登場。 周りのランナーは飲み物だけ取って、 先を急ぐように走っていく。 そんな中、私はパン食べつつ、 エアサロンパスを足にかけて、のんびり。 そしてエイドスタッフと軽く談笑。 スタッフ 「ゆっくりだねー」 私 「エイドに来ると、足が止まっちゃうんですよね」 スタッフ 「ハハハ。そういうランもいいよね」 私 「じゃあ、行きます」 スタッフ 「がんばってー」 そう。 レース中のこういうなんてことない会話が、 自分は好きなのだ。 タイムを意識したレースではあるけれど、 マイペースで先に進む。 25kmを1:58:24で通過。 ついに5km23分台をキープできなくなった。 まずい! 28kmのエイドは近くにオランダ風車があった。 応援の方もたくさん。 ここでもパンを食べてたら奥のテーブルで梅干を発見。 クエン酸は大事なので、口に放り込む。 すると、梅干しのテーブルの近くにいた子供に、 「ありがとうございます!」 と、突然お礼を言われる。 訳が分からず、 「お、おぅ・・!」 と妙な返事をしてしまった。 エイドで梅干しを食べて、子供に感謝される。 これは一体どういうことなんだ。 そんなことがありうるのか。 走りながら、感謝された理由を考えてみる。 15分位の熟考の末、導き出された結論はこうだ。 あの子の心境を、今朝から振り返ってみよう。 きょうは マラソンの ひだ。 ぼくは おてつだい。 うめぼし の かかり だ! はやく、 せんしゅ こないかなぁ・・。 あっ、きた! すごい! はやいなー。 あっというまに いっちゃったー。 おっ、どんどんくるぞ。 みんな、うめぼしたべてくれるかな? ・・。 ・・あれ? だれも たべてくれない・・? みんな、うめぼし きらいなのかなぁ。 それとも、ぼくのこと きらいなのかなぁ。 だれも たべてくれない... うぅ・・。 つまんない... ・・。 ・・・。 あっ、うめぼし たべてくれた! やった! すげー、パンたべながら、うめぼし たべてるぞ! そうだっ、たべてくれた おれい を いわなきゃ。 「ありがとうございます!」 という背景ではなかろうか。 そんな空想をしているうちに、 気づいたら3kmくらい進んでいた。よし! 30kmを2:23:42で通過。 ついに直近5kmが25分台に。やばい! 金メダルジョギングロードに入る。 足がどんどん重くなってくる。 今回は、大腿四頭筋とハムストリングスがバランスよく疲れてきてる。 普段のレースでは、大腿四頭筋のほうが先に疲れることが多いので、これはいい傾向だ。 ランニングフォームがよくなった証拠。 33kmのエイドでエアサロンパスをかけようとしたら、スタッフ4人が総勢で寄ってたかってシューッとしてくれた。 まるで、F1のピット作業のようだった。 おかげで5秒くらいでリスタートできた。 高速ピットストップ! 35kmを2:49:32で通過。 悲惨なペースになってきているが、それを気にしても仕方ないので、残りの距離と時間だけを意識する。 残り7kmを40分だ。 「大丈夫、間に合う。あきらめるな!」 と自分に言い聞かせる。 終盤のキツイ時に、頭に思い浮かべることといえば、 普通は積み重ねてきた練習の日々だ。 「あれだけ練習してきたんだから、大丈夫!」 ってね。 しかし、自分の場合は、肝心の練習をしていない。 思い浮かぶことといえば、 飲み歩いた平日の夜 のほほんと過ごした週末 自堕落な人生 足を止める要素しか思い浮かばない。 こんなことを思い起こしても意味がない。 なんか気が紛れるようなものはないか・・。 周囲を見渡しても、目につくモノは何もない。 見晴らしが良すぎる。 あるのは、田んぼ、民家、選挙ポスター掲示板くらい。 選挙かー。 今年は参院選だな。 どこの党も今ひとつ応援する気になれない自分は、 一体どこに投票すればいいんだろう。 どんな党だったら前のめりで投票したくなるだろうか。 走りながら1人ブレストをしてみる。 その結果、斬新なアイデアを思いつく。 その名も「花粉党」。 方針としてはこんな感じだ。 1.全国のスギを1本残らず伐採する。 2.そのための予算確保に全力を尽くす。 政権与党の政策にすべて賛成する代わりに、花粉症対策の予算を増やしてくれと、ひたすらゴネる。 「いやー、総理は素晴らしい! いつまでも政権を維持してほしいもんですなー。ところで、補正予算でスギ伐採費用を5000億お願いします!」 といったおねだりが予想される。 3.「花粉撲滅」以外は関心なし 例えば「外交」や「TPP」などについて国民や記者に聞かれても、「よくわかりません、すみません」で押し通す。 4.所属議員には足腰が強いことが求められる。口先だけの年寄りは森では役に立たないので排除 5.選挙には「スギ花粉撲滅に、賛成か、反対か!」というシングルイシューでのぞむ。 6.何かの手違いで、うっかり花粉党が単独過半数を占めることになったとしても、政権運営能力は皆無なので組閣人事は国民投票で決めることとする。その結果、政治がうまくいかなくても、それは選んだ国民のせいであって花粉党に責任はない。とりあえず「花粉省」は新設する。 7.休日はスギ伐採作業を手伝うことを国民に促す。スポーツジムでバーベルを持ちあげるよりも、森で伐採した木を運ぶほうがカッコいいよ!と、youtube動画で洗脳する。 8.戸建て新築と公共建築物は木造(スギ)しか許さない。違反すると恐ろしいことになる。 9.全てのスギを駆逐した暁には、「花粉症撲滅打ち上げ」を武道館で盛大に開催。花粉症患者と喜びをわかちあう。伝説の一夜として語り継がれることとなる。 10.「打ち上げ」の翌日に解党する。スギを殲滅すれば、もうやることはない。 こんな感じだ。 一昨年、植え替えられた花粉症対策のスギは、 全体の0.1%にも及ばないらしい。 そんなことでは、死ぬまで花粉症から逃れられない。 そんな現状を打破すべく、花粉党が立ち上がるのだ。 全国の花粉症の人たちが手をとり合って応援すれば、 花粉症撲滅も夢ではない…! クシャミをしつつ、そんな妄想ランを繰り広げて、 レース終盤の辛さをなんとか紛らわせる。 38kmあたりで未舗装路が登場。 普段であれば、舗装路よりも土のほうが クッションがあって喜ぶところ。 しかし土は反発力をもらえない。つらい。 38.5kmエイドで、カステラみたいなのをゲット。 (正しくはキャロットパウンドケーキ) うまい! が、喉に詰まる。。 多少むせつつ、走っていると、 頭の上に風船を乗せているランナーに抜かれる。 一瞬、「仮装?」と思ったが、ペースメーカーだった。 うしろに15人位の集団がくっついている。 (まずい、ペースメーカーに抜かれた!) しかしこの人はグロスの3時間30分で走ってるはず。 多少は時間に余裕を持って進んでるだろう。 気持ちを切り替えて、必死で集団にくらいつく。 40kmを3:16:34で通過。 直近5kmのタイムは、見るも無残な数字を示している。 しかしそんなことはどうでもいい。 あと2km強を13分以内で走り切れば勝ちだ。 ただ、最後に上り坂が待ち構えているが... 40kmのエイドにも給食があったが、泣く泣くスルー。 このレースで、初めてエイドを完全にスルーした。 もう時間がない。 立ち寄ってる場合ではない。 ペースメーカーの集団が徐々に遠ざかっていく。 まずい。ここで離されたらサブ3.5は絶望的だ。 「待ってくれ・・」 と少しずつ小さくなっていくペースメーカーの姿を 必死に見据えながら走っていると、 集団から少し外れた左側に「黄色」を発見する。 アイツだ! レースの最後に「黄色」を仕留める千載一遇のチャンスが到来した! 側溝にカップを投げ捨てた「黄色」よりも 遅くゴールする。 そんな3月27日でいいのか? 絶対にダメだ。 一生の不覚だ。 そんな黒歴史が刻まれるのは、まっぴらごめんだ。 たとえサブ3.5を達成できなかったとしても、 奴は、、、奴だけは絶対に仕留めなければ! 「黄色」の横暴に一矢報いるんだ! 動かせ。 動かすんだ。 もっと足を動かせ! 親の仇のように「黄色」を睨み続け、負の感情をエネルギーに転換し、遅くなる一方だったピッチを再び早めることに成功する。 そしてついに、、 「黄色」を仕留めた!! 抜きざまに横を見てみると、「黄色」は私以上に足が終わっていて、意気消沈していた。 ある意味、 自分が盛り返すことができたのは「黄色」のおかげだ。 心より感謝申し上げる次第。 ペースメーカーの集団からは少しずつ離されるものの、 視野からは消えない範囲で、かろうじて踏みとどまる。 残り1kmを通過。 ゴールが近づくと応援が増えてくる。 「3.5 切れるよー!」 とみんな応援してくれる。 周囲のランナーは黙々と走っているが、 応援をスルーするのはどうも気が引ける。 なので律儀に返事をしながら走る。 A型なので仕方ない。 もう、ハムストリングスがパンパンだ。 痛みはそれほどでもないが、張りが凄すぎて、 攣るんじゃないかとヒヤヒヤする。 攣ったらゲームオーバーだ。 頼む、あと1km、持ちこたえてくれ...! 後日、ゴール1km手前を走っている自分の写真を見たら、般若のような恐ろしい顔をしていた。 残り500mの看板が見えてくる。 「まだ、あと500m? これは間に合わないか…」 と焦る。 そして最後に、強烈な上りが満を持して登場。 スタートの時は、大した斜度ではないなと感じたが、 下るのと上るのでは、えらい違いだ。 上りなので、 体を前傾にして、でも胸を張って、腕を思い切り振る。 けれど全くスピードを上げられない。 まずい。 これでは3時間30分は切れない。。 もうしょうがない。奥の手だ。 「ぬおぉ!!」 と叫んで、ピッチを上げる。 もう、手も足も一杯一杯だ。 推進力になりそうなものは声でもなんでも使うのだ。 恥ずかしいとか言ってる場合ではない。 3月27日の13時頃に、佐倉市岩名運動公園入り口の坂にいた方は、突如、叫び声を発した不審人物を目撃したことだろう。 それ、私です。 すみません、大変お騒がせしました... 「奥の手」のおかげでスピードがあがり、 前方のランナーを抜いていく。 3回くらい声を絞り出してスピードをキープし、 なんとか上りを走り切る。 競技場の手前にある黄色いゲートが目に入る。 「ゴールか!?」 と一瞬ぬか喜びしてしまったが、 ゴールゲートは運動場の中。 フェイクだった。 もう自分の腕時計を見る余裕もなく、 最後の直線を必死に腕を振って走る。 間に合ったのか? 走りながら時刻を表示してる電光掲示板を探すが、、 見当たらない。 ゴールゲートの10m手前まで来て、 やっと電光掲示板をゲートの奥に発見。 3時間30分に、、、 なってない! 間に合った! よっしゃーーー!! ☆ ☆ ☆ ゴール後は女子学生にチップを取ってもらって返却。 エアサロンパスを足にかけたあと、ポカリをもらう。 記録証を発行してもらって、奥の給食エリアで、 バナナ2本と、あんぱんもらって終了~。 目標タイムは切れたし、パンもよく食べたし、 「黄色」も仕留めたし、大満足のレースだった。 その日の夜はビールが進みすぎて、翌日は筋肉痛を遥かに上回る頭痛に見舞われたことは言うまでもない(2日酔い)。 _ _ _ 今回のレースで、大して走りこみをしなくても サブ3.5はどうにかなるってことがわかった。 このノウハウを 「練習しなくても、サブ3.5!」 というタイトルで書籍にまとめたいところだ。 本の内容としては、 1.全身仮装で100km走れるようになりましょう 2.トレイルの100マイルも仮装で走っちゃいましょう 3.そうすれば練習しなくてもサブ3.5いけます! という完璧な3段論法で。 まあ、Amazonレビューが炎上するのは間違いなし。 そして力士でレースに出れば、本を買ったランナーから 「金返せー!」 と、追いかけられる事態となることだろう。 そんな戯言はさておき、 パン好きのランナーは、ぜひこの大会を走って欲しい。 たくさんのパンがあなたを待っている。 ぜひ朝食を抜いて、腹ペコの状態で走りだしてほしい。 クロワッサンに次ぐ、クロワッサン。 ときどき、あんぱん。さらにはクリームパンまで。 真のパン好きなら狂喜乱舞することだろう。 佐倉で心ゆくまでパンをご堪能あれ! ※35回を数えるだけあってスムーズな大会運営でした。スタッフ&学生ボランティアの皆様、ありがとうございました! < 前へ |
by おすもーさん
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