下ってから上る (UTMB編を最初から読む方はこちら) すっかり暗くなった頃に、「LA FOULY」に到着。 貯金が1時間に増えた! サボらずに下りをしっかり走れば、貯金は増える。 というか、暑さから解放されて体が動くようになった、 というのが正しいかもしれない。 頭のGoproをヘッドライトにつけかえる。 なので、ここから朝まで写真はなし。 走りっぱなしで疲れたので、エイドに約20分滞在。 フーリーからも引き続きサボらずに走って下る。 そろそろ下りが終わりそうかという頃に、 去年完走している日本人ランナーと一緒になる。 「下りが終わったあとの上りが長いんですよ。 去年はそこで計画が狂ったんですよねー」 高低図では、ほんのちょっとの上りに見えるが、 実際はかなり長いようだ。 これはいいことを聞いた! そして下りが終わり、上りになる。 ちょっと多めに見積もって、 1時間位は上るだろうと覚悟して登り始める。 そしたら本当に1時間かかった。長いわ! ただ、事前に覚悟していたおかげで 「まだ着かない!」 という精神的ダメージを負わずに済んだ。 122km地点のエイド「Champex-Lac」に1:03到着。 ここの制限時間は2:30なのだが、 なぜか2時だと勘違いしていた。 なので、貯金が減ったと思い、がっくり。 実際はちょっと増えていたのだが... レース前に各エイドの到着時刻をシミュレーションして 細かく記載した計画表を携帯している選手は多い。 でも自分はやらない。 レースは走ってみなければわからないので シミュレーション通りにいくことは、まずないからだ。 ごちゃごちゃ考えても脳が疲れるだけなので、 制限時間までの貯金だけ意識して走ることにしている。 しかし、UTMBでは1ヶ所だけ計画を持っていた。 それが、このシャンペ・ラックだ。 できれば、ここに制限時間の3時間前に着いて、 90分寝て、90分の貯金で出発したいと思っていた。 蓋を開けてみれば、制限時間まで1時間もなかった。 (正確には1時間半だが、勘違いしてたので) 時間の余裕はない。 しかしここで計画通り寝ることにする。 エイドは人も多数いて賑やかだから眠くないけど このあと眠くなる可能性は高い。 エイドで食べた後に消化に血がまわり、 周りも静かになり、一気に眠くなることはよくある。 怖いのは、山で寝ると体が冷えてしまうことだ。 大腿四頭筋が固まって下りが走れなくなる。 運が良ければ、このまま進んでも 眠くならないかもしれないが、それは危険な賭けだ。 山で寝るよりもエイドのほうが深く眠れるので 時間を失っても、ここで寝たほうがいいと判断。 ここで寝ることで、次のエイドで関門アウトになる かもしれないが、そうなったらそれまでのことだ。 時間が惜しいので、急いでスープだけ飲んで、 アイマスクと耳栓をして、ベンチで眠る。 最初はバッグを枕にしてベンチで寝たが、 バッグの枕が微妙なので、テーブルに突っ伏して寝た。 1:45にアラームをセットするも、1:40に目が覚める。 元々眠かったわけではないけど、頭はすっきりした。 寝起きにコーヒーを3杯飲む。眠気対策。 1ヶ月のカフェイン断ちの効果が出ますように… パスタを食べて腹ごしらえをし、 制限時間の9分前に出発。 正確には39分前に出発していたのだが この勘違いが、のちに影響を及ぼすこととなる。 残るは山3つ。まず1つ目 次のエイドまで17km。長い。 制限時間から推測すると5時間半かかる。 ここが正念場だ。 しばらく舗装路の下りが続く。 町にはこんな深夜でも応援の方がいて 私設エイドもあった。ありがたい! トレイルに入って、上り開始。 最初は緩やかだったので、これが続けばいいなと 思っていたが、残念ながらそうはならず。 自分が最も苦手とする「大きな段差」が続く。 段差の場合はストライドの調整ができないので、 特に大きい段差が続くと、疲弊した足には堪える。 マジでしんどい。 心が… 折れる… 何度も足を止めて小休止を入れる。 うしろからガンガン抜かれる。 キツさに向き合い続けるのはムリなので、ラジオの音に意識を飛ばして気を紛らわせたり、空を見上げてキレイな満月の明かりを見つめたり。 前のエイドから2時間くらい経った頃、 足がしんどくなりすぎて、近くの切り株に腰掛ける。 眠くはないけど、どうせ休むなら寝るかと考え、 地面にゴロンと横になる。 月明かりを浴びた木々を 下から見上げた風景がなんか心に残った。 3分くらい休んで再び上り出す。 森を抜けて見晴らしのいい所に出てから、 山を巻くように横に移動。 もう上りは終わりかと思っていたら、 最後にまた上りが待っていた。 そうこうして、ようやく山頂の「La Giete」に5時半到着 わかりやすい頂上ではなかったが、 選手がたくさん休んでいたので、ピークだと気づいた。 上りに3時間半。長かった... 眠くなることなく、なんとか登りきった。 下りを2時間で下れば、貯金が30分できると計算。 下る足は残ってるので頂上で休まずにすぐ下り始める。 この下りは頑張った。 自分好みのすごく走りやすい斜度の道だった。 ヘッドライトの光量が落ちてくる。 電池が消耗してきたようだ。 下りは路面をしっかり照らしたいので ハンドライトに切替える。 ハンドライトはすっごい明るい。 前に抜きたい選手がいるときは、そのランナーの足元奥を照らしてプレッシャーをかけると譲ってくれることを発見する。 海外ランナーは普通にうしろを走ってるだけでは 譲ってくれないので、これはいい発見だった。 この下りで抜かれたのは2~3人だけ。全員日本人。 それだけ飛ばした。 その日本人ランナーに話を聞くと、前のエイドを制限時間ギリギリに出ていて、下りの渋滞が長くて抜くのに苦労したそう。 自分もギリギリに出て、上りは激遅だったのに、 下りはそこまで渋滞していなかった。なぜだ…? このときは気づいていなかったが、 勘違いで30分早めにエイドを出たおかげで 下りの渋滞に巻き込まれずに済んだのだ。 それに気づいたのはレース後のことだったが、 ラッキーな勘違いだった。 「海外ランナーって全然譲ってくれないから 強引に何十人も抜くのが大変だったー。 ようやくストレス無く走れるようになったよ。」 「うしろから走っていって、近づく前に 察して譲ってくれるのは日本人しかいないですよね」 なんて話をする。 6時を過ぎると、徐々に明るくなってくる。 よし、2回目の夜を乗り切った! 右側の青く染まった空が、すごく綺麗。 Goproで撮りたかったが、バッグを下ろして Goproを取り出す時間がもったいないので断念。 前のエイドを制限時間ギリギリに出ているので、 次のエイドに間に合うかどうか気になって仕方ない。 エイドはまだかーーー 139km地点のエイド「Trient」に6:32到着
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by おすもーさん
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11月 2017
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