スタート会場にいた、伝統衣装(?)を着た人達
(マデイラ編を最初から読む方はこちら)
ゴール地点からスタート地点へ、バスで移動。 バスでは寝るつもりだったので、 耳栓とアイマスクをして目を閉じる。 が、車内でラジオを大音量で流されて計画破綻。 うるさい… 22:30過ぎにPorto Monizに到着。海のすぐそば。 スタートまでまだ1時間半もある。 風が強いわけではないけど、 波が高く、岩に当たる音がよく聞こえる。 この時、ドロップバッグを2袋持っていて、ゴール地点行きのほうにレース後の着替えを入れていた。 肌寒いので、袋からジーパンを取り出して穿く。防寒。 そして階段に腰掛けて、仮装の準備を始める。 15分位で準備が終わると、やることがなくなり、寝る。 少しでも寝て、脳を休ませないと… スタート40分前になってから準備運動を開始。 体をほぐしてから、力士にささっと変身して、 スタート15分前にスタートエリアに入る。
最後尾より。スタートゲートはほとんど見えない
ゼッケンチェックを受けてから、
スタート待機集団の最後尾に並ぶ。 毎度のことだけど、 「ゴールまでずっとその格好で行くの!?」 など、周囲のランナーからあれこれ話しかけられる。 海外での仮装レースもこれで6戦目。慣れてきた。 イタリア人「クワトロカッパ(=4K)走ってた?」 私「うん。君も走ってたの?」 イタリア人「テレビで見たんだよ。完走したの?」 というやり取りも。 SUMOがテレビに映ったのは知ってたけど、 一体、どれだけのイタリア人が見たんだろ…? テレビはやっぱすごいね! レース前の緊張感がまるでない中、恒例の写真タイムを過ごしているうちに、あっという間にスタート時間の24時になる。
さあ、逝こーか!
コース高低図。距離115km 累積標高7095m D+
制限時間は明日の朝8時(32時間後)。
2年前に走ったトランスグランカナリアは 朝5時が制限時間で、当然、その時間は真っ暗。 だけどマデイラは朝8時なので、夜が明けて、 朝焼けの空を見ながらゴールできるかもしれない。 これは制限時間ギリギリの鈍足ランナーには朗報。 累積標高の数字を見れば、普通は震えるはずなのに 「アンドラのだいたい半分ね!」 と思ってしまう自分はなにかおかしい。 そもそもアンドラは完走してないし。 それはさておき、最初の区間は14kmで1500m D+。 「1500m D+」をわかりやすく例えてみましょう。 日本で一番有名な「東京マラソン」で言うと、 一番の難所と言われている佃大橋の急坂は、 「10m D+」 なので、その150倍です。 橋が150個積み上がったのを想像していただければ。 余計わかりづらいか…
スタートゲートをくぐってからも、
しばらく両サイドの応援が続く。 深夜なのに応援が多くて嬉しい。 そしてすぐに街を外れて、上りが始まる。 これがね、強烈な斜度! 最初だけかと思ったら、上を見ると延々続いてる。 正気の沙汰とは思えない。 すげーぞ、こりゃ! しばらくロードが続き、道路脇には家が点在している。 この斜度の道の近くで暮らしていれば、 さぞ足腰が強くなることだろう… 家の前を通過すると、ちょいちょい応援がある。 最後尾からスタートしたので、 すぐうしろにはスイーパーの車が。 最下位集団からは脱出したいけど、こんな斜度でスピード上げたら、すぐ足が終わってしまう。 ストライドに気をつけて慎重に上っていく。
最初の小山を上りきったところが
シングルトラックになっていて、少し渋滞。 とはいえ完全停止ではなく、ゆるく進んでいるので まったく問題なし。 先を急いで横をすり抜けていく女性ランナーがいたが、 男「みんな並んでるんだから、ちゃんと並べ」 女「急いでるのよ!」 男「ダメだ! ルールを守れ」 前の男性ランナーにたしなめられて、うしろに並んでた
一旦、町あかりのあるほうへ下りていく
心霊写真みたいになってるけど、
道の両側に50人位の応援団がいた。 Sumo Runnerにやたらと盛り上がってくれて、 近くの選手が「君、ヒーローだな!」って言ってた。 仮装冥利に尽きる!
再び上り始める
道の中央部に階段がある。
斜めの路面よりも、階段のほうが 足への負荷が少なそうなので、なるべく階段を進む。 ランナーの進路が何度も車道を横断するので その度に車は止まっていて渋滞していた。 サポーターは気をつけないと間に合わなくなりそう。 ところで。 これまでのレースで一番きつかった上りといえば、 「レユニオンのPiton des Neiges(Cilaosのあと)」 ダントツでここ。 ここを上り始める前は完走する気満々だったのに、山中で完膚なきまでに身も心もへし折られ、貯金も吐き出してしまい、関門アウトに追い込まれた。 ちなみに、この上りは累積標高1300m。 アンドラの最初の区間も、かなりの上りで、 最初のエイドに着くまでに4時間以上かかった。 この区間は累積は不明だけど、標高差は1260m。 今、進んでいる区間は同等かそれ以上なので、 初っ端から恐ろしい上りだ。 1時間位でロードが終わり、トレイルに入る。 (それにしても斜度すげーな…) 先を進む選手のヘッドランプが上にある。 真上。 それが視界に入ると斜度に怯みそうになるので ラジオを聞きながら、足元だけを見て進んでいく。 今回、新しいラジオを持参した。 これまで使っていたのは、
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SONY製のラジオ。 5年前、初めてウルトラに挑んだとき(富士五湖)、 レース中に退屈することがよくあったので 気分転換のために購入した。 コンパクトなのと、防水ではないのに 雨とか、かぶり水で散々濡らしても壊れなかった。 さすが、ラジオのSONY! だけど5年経って、周波数を合わせるジョグダイヤルに ガタがでてきたので買い換えることにした。 同じものをまた買おうかとも思ったけど、 いろいろ調べて、別のモノを購入。
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近頃、世間を騒がせている東芝製。 前回のSONY製よりも体積は大きく、かさばる。 (重さはほぼ同じ) ただ、スピーカーとオートチューニング機能がある。 ラジオに一番ありがたみを感じる時は、 海外トレイルレースのナイトランの単調な上り。 景色が見えないので、とにかく退屈する。 そして眠くなる… 山の中なのでラジオがつながりづらく、 周波数探しを延々することが、これまでよくあった。 元気なときは暇つぶしになっていいんだけど、 疲れてたり、眠かったりすると、これ、かなり面倒。 オートチューニングがあれば、この作業が不要になる。 スピーカーはなくても良かったんだけど、 スパルタスロンみたいにイヤホン禁止のレースの時は スピーカーモードで使うこともできる。 (騒音を撒き散らしてると迷惑甚だしいので、 周囲にランナーがいない一人旅状態のときに限るけど) あと、SONY製よりもだいぶ安い。 ランアイテムにはお金をかけないようにしている、自称「節約ランナー」の私にとっては決め手になった。 で、今回使ってみると、 想像通りオートチューニングが超便利! これはいい買い物だった。 アップテンポな曲を流し続ける放送局を発見し、 曲に合わせて足を進めていく。 眠くもなく、足も元気なので、サクサク進む。
13.9km地点の第1エイド「Fanal」に約3時間で到着
深夜3時で、ほぼ最後尾なのにまだ応援の方がいた。
写真を撮ろうとしていたのでポーズをとったら、 「こっち来て!」 と女性に呼ばれて、2ショットで自撮りに収まる。
エイドに人が少ない。
自分が遅いからか… この時、私のうしろには30人位しかいなかった。 つまりほぼビリだ。 ヤバイぞ! ※115kmの部の出走者は785名
奥にスープがある!
このレースの特徴の一つは、
エイドの食べ物が充実していること。 「食べ物? ジェルと塩があれば十分っしょ!」 というOSJクオリティなランナーには関係ないけど、 私のような食べランナーにはとても嬉しい。 UTMBよりも食べたいモノがたくさんあるぞ!
フルーツもしっかり補給
ムシャムシャ食べていると、
「MUSASIMARU!」 と話しかけられる。なぜ武蔵丸を知ってるんだ…? この人、海外出身力士に詳しいのかもしれない。 そこで、 「HAKUHO、ASASHORYU、AKEBONO、KONISIKI…」 と力士名を連呼してみたら、なぜか曙を知ってた。 あの時代にヨーロッパに海外巡業でもしたのかな?
撮られ中。この服装の方を何度か見かけた。自衛隊?
「Bye! MUSASIMARU!」と見送られて出発
一気に900m下る
転ばないように路面に目を凝らして下っていく。
UTMBのような走りやすい下りではないけど、 アンドラほど荒れてるわけでもない。中難度。 なんかヘッドライトの明かりが暗い。 新品の電池のはずなのに… 今回は初日夜をsuprabeam、2日目にpetzlの予定。 ペツルの明るさは素晴らしいんだけど、 電池が2日は持たない。 なので、眠くない初日は別のライトにした。 でもやっぱり暗い。 値段が高いから躊躇してたんだけど、 帰国したらペツルの予備バッテリーを買おう。 レース前に、私の数少ないラン友から、 「ウルトラスパイアの腰ライトいいよ!」 と聞いて見てみたんだけど、価格が25000円。 たっけぇ!!! こんなのね、庶民には手が出ません。セレブ専用。 25000円あったら、 吉野家の牛丼、何回食えると思ってるんだ!
今回、ラジオの他にもう一つ新アイテムを持ってきた。
ポールだ。 4Kのレース中に壊れてしまったので買い替えた。 これまでSINANOの125cmを使っていたので 同じブランドの125cmを買うつもりだった。 しかし見つからず。 「13.6pro」は最長120cmで約2万円。高い…。 っていうか生産終了してるのか、どこも売り切れ。 「14.0」は最長115cm。 定価は1.5万円だけど、少し安く売ってる店もある。 ただ、これまでより10cmも短い。大丈夫なのか…? ヘリテイジのポールは最大120cmで1万円以下。 いいかもと思ったけど、ジュラルミン製で強度が不安。 自分の場合、上りも下りもポールはフル活用なんだけど どちらかと言えば、下りのほうが重要。 私の脆弱な大腿四頭筋を守るため、下りでは 徹底して先にポールを着き、着地衝撃の吸収に努める。 なので、ポールの長さと強度は必要。 帯に短し、たすきに長しな感じだったので、 散々悩んで、SINANOの「14.0」115cmを購入した。 ※画像をクリックするとAmazonにぶっ飛んでいきます で、実際使ってみると、 やはり10cmの長さの違いを痛感。 斜度がキツめなのもあり、ポールをつくのに四苦八苦。 普段の感じで腕を伸ばしてもポールが地面に届かない。 もちろんポールの握り方も持ち手の上部をくるむ感じの一番長くなる持ち方にしてるけど、それでも足りない。 うーん、長さは変えたのは失敗だったかな… 別ブランドでもいいから125cmにすべきだったかも。 っていうか、なんでシナノに125cmないんだろ。 長いポールはニーズないのか…? コース横に川が流れているせいか、 たまにひどくぬかるんでいる箇所がある。 ぬかるみ嫌いな私は、もちろん全避け。 スピード落としてでも靴は濡らしたくない。 しかし2,3回、バシャッとやってしまう。 レース始まったばかりなのに 靴とソックスが濡れてしまった… 萎える。
19km地点の第2エイド「Chao da Ribeira」に4:03到着
ここも食べ物いっぱいある。天国♪
前のエイドから1時間で、あっさり到着。
やや小さめのエイド。 このエイドは制限時間が設定されている。 貯金を気にしても仕方ないけど30分切ってる。 余裕ない! スタッフがボトルに水を補給してくれる。助かる! 女性スタッフと談笑しながら、フルーツを中心に補給。 あとは一番お腹に溜まりそうなパウンドケーキを。 滞在時間3分弱で、すぐ出発。
「EXIT」看板、わかりやすくていいね
累積で約1400m上る。気合い入れねば!
登り始めから斜度が強烈にキツい。
「マジか…」 と遠い目で上を見上げる。 いかん、上を見てはダメだ。 まだ足が元気なので、歩幅を広げて ずんずん登らないように気をつける。 「何だこの上り、壁かよクソっ!」 と、たまに愚痴を吐きながら進んでいると、 森を抜けて、ひらけた場所に出る。 そして斜度がゆるめになる。 この島の山は麓が急で、徐々に緩やかになってるっぽい 上を見上げると、満天の星空。おー! 街からも離れてて、人工の明かりが一切ないからね。 足場が安定してる所ではヘッドライトを3秒位消して、星空を楽しみながら歩いて行く。
6:50頃。空が明るくなり始めたぞ!
写真中央やや右上の白い点は、月。
この日は上弦の月だった。 少しずつ空が明るくなっていく中、 ようやくピークに到着。 すると、山の向こう側には・・
朝焼けの空!
写真だけ見ると、
「よくある、朝焼けの写真だね」 って感じだけど、これ、かなり感動した! 上った甲斐があるってもんだ!!!
ピークからすぐ近くでエイドを発見。
29km地点の第3エイド「Estanquinhos」に7時に到着。 |
by おすもーさん
<海外レース>
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