今年も来ちゃった 去年、やっとのことで山頂にたどり着きまして。 レース中はといえば、 「いやー、仮装ランにしなくてよかった!」 と何度も思ったし、ゴールした後は、 「ここを力士で完走するのは絶対ムリだわー」 って思った。 思ったの。ホントに。 実際、全国のタフなランナーが荒ぶる魂で挑んでるのに、完走率50%のレースなわけです。 それなのに。 あれほど、しっかり言い聞かせたはずなのに。 お相撲さんで仮装ランしてしまいました。 その顛末を記しておこうと思います。 _ _ _ レース前日のお昼頃のバスで、新宿から富士山駅へ。 バス車内は、フジヤマ目当ての海外観光客でほぼ満員。 バス到着後、そのまま宿へ。 今年は運良く、スタート地点に近い宿をとれた。 宿に宿泊してるのは、ほぼ富士登山競走の参加者のようで、明日の準備を廊下でしてたら、どんどん話しかけられてランナー談義に花が咲いた。 早めに夕食を済ませて、20時頃に寝る。 レース当日は5:40起き。 着替えながら、赤飯・シリアル・ヨーグルトを食べる。 今年は、去年背負った超小型バッグを使えない。 本当は使いたいが、力士の場合は体がデカすぎてベルトが閉まらないのだ。 なので、ウエストポーチに空のペットボトル、 アームバンドにその他の小物を入れて代替する。 アームバンドには、ショッツ3つと、 ゴール後の買い物用の1000円を入れる。 暑くなりそうなので、両手首にリストバンドをする。 片方はポケット付きなので、 フルーツのど飴と塩熱サプリを入れる。 ショートパンツのポケットには、 ・岩場用のグローブ ・首の冷却タオル ・アームカバー ・マスク(下山時の砂埃対策) を入れる。 膝と足首にはニューハレのテーピングを。 トイレで無事にすっきり出して、6:30頃に宿を出る。 富士吉田市役所に到着。 ほとんどのランナーは少しでも前のスタート位置を 確保するために早めに来て待ち構えている。 しかし私は早めに並ぶと、スタート前に 消耗しちゃう気がするので、いつも通りのんびり。 五合目と北麓公園行きの荷物を預け、スタート地点へ。 7時前だというのに、陽射し強すぎ! こりゃ、仮装なんかしたら 間違いなく熱中症になるんじゃないか? 普通の格好で走ろうか・・と迷いだす。 「やっぱりここを力士で完走するのは不可能だよ...」 とネガティブになり始めた時、ある言葉が頭をよぎる。 不可能とは、自らの力で世界を切り拓くことを放棄した臆病者の言葉だ。 そうだ。不可能なんて単なる先入観だ。 単に楽して完走したいだけの臆病者の言い訳だ。 碇シンジ君も言ってたじゃないか。 逃げちゃダメだって。 よし、やろう。 覚悟が決まり、Cブロックのスタート待機場所近くの物陰でお相撲さんに変身し、Goproをヘッドマウント。 例年通り、「絶対完走するぞー」「今日のビールはうまいぞー」の掛け声を聞く。 周囲のランナーに好奇の目で凝視されつつ、 スタート列に加わる。 写真撮られたり、「山頂で会いましょう!」と 声をかけられたりしながら、スタートを待つ。 強烈な陽射しに照らされて、 スタート前だというのに早くも汗だく。 これは先が思いやられるな... しかし、富士登山競走はエントリーの クリック合戦を突破するのも至難なレースだ。 本来であれば、仮装でおちゃらけてる場合ではない。 クリック合戦で沈んでいった人達のためにも、 なんとしても完走する必要がある。 たとえ、お相撲さんであっても。 静かに闘志を燃やし、スタートの号砲を聞く。 7時にスタート! 富士登山競走の歴史上、 かつてないほど無謀なチャレンジが幕を開ける。 最後尾のCブロックスタートなので、 スタート地点のマットを踏むまでに時間がかかる。 今年は1分10秒のロス。去年よりも遅い。 スタート後の直線を左折して、ゆるい上りへ 鳥居をくぐる 遠くに、富士山が " どーん "と構えているのが見える。 去年も思ったけど、 今からあのてっぺんまで登るって信じられん... それにしても、、、 暑い!! やべーぞーー!! この暑さは、一体何と表現したらいいんだ。 かつてない、またとない、どうしようもない暑さ 比類なき、いわれなき、よどみなき暑さ 圧倒的に、熱狂的で、絶望的な暑さ 究極に、圧巻で、破天荒な暑さ 熱き、篤い、暑さ ダメだ。 どんなに言葉を重ねても、実態の3%も表現できない。 それはもう、永遠なる暑さ。 スタート10分で早くも暑殺されかかっている。 やばい。 やばすぎる。 尋常ではない。 恐怖を感じるレベルだ。 これまで、サハラ砂漠、丹後ウルトラなど幾つかの暑いレースを走ってきたが、これはもう群を抜いて暑い。 それなのに仮装ラン。 衣装内の温度が、ぐんぐん上がってる。 衣装のお腹の中に卵を入れておけば、 3分でゆで卵ができ、30分で雛がかえるレベルだ。 いきなり全く笑えない状況に陥る中、なんとか3km走り 富士浅間神社の手前を右折して森の中へ。 木陰に入り、直射日光から逃れられて、ほっとする。 すぐ浅間神社の給水所に到着。 毎年のことながらプラカップの散乱っぷりが半端ない。 ここで痛恨のミス。 給水所の慌ただしい雰囲気に押され、 水を1杯飲んだだけですぐ出発してしまう。 開始15分で文字通り人一倍の汗をかいていたのだから、 もっとしっかり水分とっておくべきだった。 かぶり水もせず。 このミスが、ここから響いてくることになる。 中ノ茶屋を目指す 給水所を出て、単調な長い上りが始まる。 ここで、自分の体の異常に気づく。 ピッチが、、、遅い。 いつも通り走ろうとしても、できない。 体が重い。 そして、だるい。 スタートから怒涛の暑さの中を走ってきて、ずっと 「やばいよ!」 という体の声は感じてたわけだけど、 早くもそれが現実のものとなる。 熱中症だ。 強烈な陽射しによって、開始20分で殺られてしまった。 まだ走れてはいるから完全な熱中症ではないが、 その領域に片足を突っ込んだ状態になっている。 (こんな前半から走れないことってある…?) と嘆きつつ、体のだるさを引きずりながら走り続ける。 が、早くも歩きたくなってくる。 普段から、周りが迷わず走るようなゆるい上りでも 速やかに歩いてしまう私ではあるけれど、 ちょっと早くない? いくらなんでも早くない? まだスタートから30分も経ってないんだけど! そんなことで完走できるわけなくね? と、必死にこらえる。 富士登山競走を完走するコツの1つに、 「馬返しまでは歩かずに走る」というのがある。 とはいっても馬返しの手前は、なかなかの斜度なので最後のほうは歩く人も多いし、実際に自分も去年は歩いたけど完走している。 しかし中ノ茶屋の前で歩くなんて聞いたことない。 もはや、やる気を疑うレベルだ。 松岡修造がいたら、 「帰れっ!」 と間違いなく怒鳴られることだろう。 いくらなんでも中ノ茶屋の前で歩き出すなんてダメだ。 去年完走したんじゃなかったの? 夢だったの? って、こらえようとはしたんだけど・・ ダメだった。 歩く。。 このレースは、富士登山「競走」。 競いながら走るレースなわけで。 そういう荒っぽいレースなのに、 スタートして30分も経たないうちから、徒歩。 朝のウォーキングかな?って感じ。 散歩と言ってもいい。 こんなことになるとは! 後続ランナーの邪魔にならぬよう、道の左端を歩く。 当然だけど抜かれまくり。 「それみたことか。そんな格好するからだ」 と思われたに違いない。 当の本人は人の目を気にしてる余裕すらなかった… そうして、これでもかと抜かれ続けていると、、 ついにはリタイアしたくなってくる。 こりゃムリだ。 もう次の「中ノ茶屋」でリタイヤしよう。 このまま力士で走り続けるのは不可能だ。 スタート前は、 " クリック合戦で沈んだ人のためにも絶対完走! " とか言ってたのに、 それがまさかの「中ノ茶屋」でリタイア。 なんてざまだ。無様だ。 「富士登山競走を中ノ茶屋でリタイア」 これはもう黒歴史確定だ。 だけど仕方ない。 体が言うこと聞かんのよ。。 中ノ茶屋に着いたのが44分。 完走するには遅すぎるタイムだ。 しょうがない。歩いたし。 中ノ茶屋の手前にいたおばさま達が、 「ひゃはははは!!!」 と、お相撲さんの格好を見て大爆笑してた。 まあ、力士冥利につきるね。 そして、そのエネルギーを オラにちょっとでいいからわけてくれって思った。 それくらいの爆笑だった。 給水所に入ると、リタイアするつもりだったのに、また周りの雰囲気に流されて、やるべきことを淡々とやってすぐ出発しようというモードに切り替わってしまう。 まずかぶり水をして体温を下げることに努め、 そのあと水とアクエリアスをがぶ飲み。 給水所に着いた時はふらふらだったが、 意識が少しはっきりする。 いつの間にやら「リタイア」が頭から抜け落ちて、 気づいたら中ノ茶屋を出発していた。 馬返しを目指す 中ノ茶屋を過ぎると、少しずつ斜度があがっていく。 給水所で多少復活したと言っても、 体がだるいことには変わりない。 給水所を出てから1分くらいは走ったものの、 気づくと、いそいそと歩いておりました... こりゃいよいよ熱中症だわ。 中ノ茶屋は気づいたら出発しちゃってたけど、 馬返しで今度こそリタイアだ。 それにしても、スタートしてすぐに、これほどまでに 追い込まれたレースはなかったんじゃないか。 あぁ、2013年の伊豆大島ウルトラマラソンのときは、レース前に膝が逝ってたから、最初のエイドでリタイアしようと思ったな。 あれは膝を怪我してたんだから仕方ない。 だけど、今回は体調は万全。 それなのに... 馬返しでリタイアした後のことを考える。 馬返しにリタイア回収車なんて来るんだろうか。 でも車がないとしても、馬返しから富士北麓公園まで走って戻るのは面倒だ。 それならビリでもいいから、5合目まで登って 送迎バスで帰ったほうが楽チンではないか。 五合目までは行くか… そんなことを考えながら歩き倒す。 たまに思い出したようように走ってみる。 しかしすぐ歩きに戻ってしまう。 やっぱりダメだ... ちょっとした散歩的なものを嗜み続けていると、 同じ宿だった方に「その格好は大変ですねー」と 声をかけられながら抜かれる。 うん、「大変」なんてレベルを超越してるけどね… 馬返しが遠い。 そりゃ、馬も引き返すわ。 人参ぶら下げられたって、こんなとこ登りたくない。 馬返し手前のキツイ斜度の道は完全に歩きっぱなし。 嘘みたいだろ? 一歩たりとも走れないんだぜ? ようやく馬返しに到着。長かった...
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by おすもーさん
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11月 2017
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