ちょっとだけ見えた富士山 茂木健一郎さんがね、 「根拠のない自信をもて」 って言ってたんですよ。 それなのに・・。 _ _ _ 去年の11月に酔った勢いで、 ウルトラマラソンにエントリーしまして。 しかも、これまで42kmしか走ったことがないのに 100kmではなく112kmに申し込んでしまって。 「まあ、なんとかなるんじゃね?」 という根拠のない自信をね、持ってたわけです。 人生初のウルトラなんだから、 普通はそれなりに走り込むと思うんですけど、 「まあ、なんとかなるんじゃね?」 という根拠のない自信にね、満ち溢れていたわけです。 なので大して練習せずにレース当日を迎えまして。 そんなランナーを待ち受けるものとは一体…? _ _ _ レース前日の昼に、新宿から大会バスで現地へ。 13時過ぎに会場に到着し、受付を済ませる。 そのあとは、チャリティ募金してドリンクボトルをもらったり、ファイテンブースでテーピングしてもらったり、ニューバランスを試履してからウエストポーチもらったり。 外で吉田うどんを食べてから、 16時頃に送迎バスでSAWAホテルへ。 荷物を整理したあと、「小作」というお店で かぼちゃほうとう(1100円)を食べる。 満席で10分待ちだったけど、待つ価値ある美味しさ! 野菜多くてヘルシーだし。 明日は雨の予報なのに雨具を持ってきてなかったので、 ダイソーでカッパの上下を購入し、ホテルに戻る。 明日は早起きだと言うのに、 テレビを見てたら寝るのが遅くなり、22時就寝。 レース当日は3時起き。 おにぎりや、ヨーグルト、レーズンなどを食べ、 テーピングを膝、足首、太もも外側、足裏に施す。 3:30にホテル前から送迎バスに乗り、レース会場へ。 雨は降ってないが寒い。気温は2~3度くらい。 会場では着替えてから、 ボルダースポーツを足裏に塗り、荷物を預ける。 今回、ボルダースポーツのおかげか、 足裏にマメや靴ズレは起きなかった。 会場でもらったVAAM缶を飲んで、スタート地点へ。 はるな愛がサプライズゲストで来ていた。 周りのランナーを見てみると、 大きいビニル袋に穴をあけて着てる人がたくさんいる。 こうすると防寒になるのか。なるほど。 まだ真っ暗な中、4時半にスタート。 フルマラソン以上の距離は走ったことがないので、 ゆっくり走ることを意識して走り始める。 このレースは公道を封鎖しないので、信号待ちがある。 まあ、いい足休みになるので気にはならない。 10kmを通過。 山中湖畔辺りで、 富士山が見れる瞬間があった(冒頭の写真)。 湖の周りを走っていると、 かなり先のほうまでランナーがよく見えるので、 「あそこまで走るのか…」 とわかってしまい、気分的に沈む。 あまり遠くを見ないようにして ラジオを聞きながら、ゆるゆる走る。 20kmを通過。 エイドではチョコ、たけのこの里、グミ、バナナ、オレンジ、あずき、レーズンなどを補給。 私設エイドもそうだけど、応援が多くて力になる。 子供の応援は微笑ましくていいね。 30kmを通過。 ウルトラでは水分だけじゃなくて、塩の補給も大事らしいので、エイドの度に塩熱サプリを食べる。 塩熱サプリを買う時に塩熱飴も検討したけど、 サプリのほうが簡単に噛み砕けるので摂取しやすい。 ただ、サプリを食べすぎたせいか、頻尿状態に陥る。 正確には過活動膀胱というべきか。 エイドの度にトイレに立ち寄る羽目になり、 時間をロスしていく。痛い。 38kmのエイドでは柚子味噌入りのおにぎりを食べる。 お腹にたまるのでうれしい。 40kmを通過。 このあたりから、112kmのランナーを見かけなくなる。 周りは100kmと70kmの人ばかり。 100kmランナーは30分後にスタートしてるわけだから 追いつかれてるってことか… レース前に気になっていた右膝と右足首は テーピングのおかげか、痛みが増すようなことはない。 逆にテーピングしていなかった左膝が少し痛み出す。 ipodでラジオを聞きながら走っていたが、 スタートから5時間を過ぎると、ipodが電池切れに。 河口湖大橋の辺りで、42kmを通過。 (まだ半分以上あるのか。 フルマラソンならここでゴールなのに… ) と思いながら走っていく。 ここから未知の領域に入る。 次第に筋肉痛が走りに影響を与えるようになる。 特に太もも背面とお尻の張りがすごい。 中盤からトレーニング不足の影響が顕著に。 50kmを通過。 51.6kmのエイドではドロップバッグを引き取り、 雨はまだ降ってなかったが、100円カッパを着る。 天気悪くて写真撮らないのでスマホをここで預ける。 西湖近くは微妙な斜度の上りが続く。 レース前は、「エイド以外は歩かずにいきたい」と考えていたが、足が重くなり、上りは歩くようになる。 58kmのエイドでは、うどんを提供していた。 しかし行列が長くて、時間に余裕がないのでスルー。 60kmを通過。 折り返して走ってくるランナーとすれ違う。 100kmのランナーも続々と折り返してきてるのに、 112kmの私がまだここにいるのは恥ずかしい… 予想通り、60km過ぎから小雨が降り始める。 カッパを着ておいてよかった。 しかし誤算も。 前側のボタン3つがすべて壊れていて、留められない。 100均クオリティ! それにしても足が重い。鉛のようだ。 ゆっくりペースで来たはずだけど、 もっと遅いペースにしないといけなかったのかも。 ペース配分をミスったか…? 次の70kmのエイドは関門だ。制限時間は14:30。 時計をしていないので今の時刻がわからないが、 おそらく余裕はない。 急がねば… ホントにゆる~い上りと下りが続く。 周囲は走っているのに、私はもう上りを走れない。 つらい。 (これがウルトラマラソンか…) と痛感しながら、のろのろと関門に向けて進んでいく。 そして、70km関門の本栖湖県営駐車場に到着。 エイドにある時計を確認すると、制限時間の5分前。 ギリギリ! ここにも荷物を預けていたが、 時間がないので引き取らず、補給だけしてすぐ出発。 しかし、ここでミスを犯す。 112kmはここから本栖湖を1周しないといけないのに 周りの100kmランナーにつられて折り返してしまう。 50mくらい走ってから、 「あ、違った!」 と気づいて、慌ててエイドに戻る。 しかし、関門の制限時間を過ぎていたので、 「もう終了です!通れません!」 スタッフに止められてしまう。 「112kmなんです!コース間違えた!」 と伝えて、なんとか通してもらう。 関門を通ったのはいいけど、 この時点で完全に最後尾。 雨が徐々に強まる中、ビリで本栖湖の湖畔を走り出す。 この日の気温は日中でも8度。 雨に打たれてるので寒い。 にわかには信じがたいほど、足の筋肉痛がヒドい。 まったく笑えない状況。 「脚力がない」 という現実を余すところなく露呈している。 エイドを出て少し走ると、歩いてる選手に追いつく。 「キツイっすね…」 と話しかけると、苦笑いしていた。 お互いにへばっているので、 多くを話さなくとも分かり合えるものがある。 本来、112kmのランナーは14:30までに 本栖湖を1周していなければ完走は難しい。 この時点で完走はムリだと悟る。 あとはもうどこでリタイアするかだけだ。 湖なので、遠くのランナーが見える。 約200m先を走っている黒シャツの選手が見えていて その人と同じようなペースで進んでいく。 (あの人がやめたら、オレもリタイアしようかな…) などと考える。 足はもう、エライことになっている。 これまでの理解の範疇を超えている。 「足が棒になる」 と聞いたことはあるけれども、 人の足はこうまで棒になるものだろうか。 異次元とも言える領域だ。 本栖湖で歩いていたランナーを何人か抜いていたが、 途中で年配ランナーに抜き返される。 ふと、うしろを振り返ると、リタイア回収車が! 私の進む速度に合わせて、のっそり走っている。 抜いてきた選手はリタイアして車に乗ってるようだ。 生まれて初めて、最後尾の車に追い立てられた! く、屈辱… 休日に山梨まで来て、約2万円払って、雨の中、完走の見込みもないのに、最後尾の車に追い立てられながら、棒のような足で走り続けている。 いったい、オレはなにをやっているんだ…? こんな目に合うのは、日頃の行いが悪いせいだろうか。 そうだとしても、これ以上ない罰ゲームだわ… だいたい何だ。 112kmなんて車でもうんざりするような距離なのに、 それを走るなんて頭おかしいだろ! ・・などと意味もなく、内心キレながら進んでいく。 雨が強まる中、本栖湖の中間地点にあるエイドに到着。 当然だがランナーは誰もいない。 カッパのボタンが留められないので、これまで手でカッパの前側を押さえながら走っていたが、このエイドにガムテープがあったので、貼ってふさぐ。 これでよし。 リタイア回収車は、私のすぐうしろで止まっている。 私が走り出すのを待っているようだ。 雨も降っているし、もうここでリタイアして車に乗ろうかとも思ったが、本栖湖を1周して県営駐車場エイドまでは戻ろうと決め、雨の中を走り出す。 そこからの6kmは、「もうこれで最後!」と思って、 歩きたい欲求をこらえ、遅いながらも歩かず走った。 雨に打たれながら、気の持ちようだけではどうにもならない領域が存在することを思い知る。 茂木さん、自信だけじゃどうにもなんないよー! そして、17時頃に県営駐車場エイドに戻ってくる。 関門は11km先なので、そこまで進むことはできる。 しかし、そこの関門は17時。つまりもう過ぎている。 間に合う可能性はゼロ。 エイドのスタッフに告げる。 「リタイアします・・」 人生初のリタイア。 勢いだけのチャレンジは、ウルトラの手荒い洗礼を受け、完全なる敗北で幕を閉じた。 82km走ったのに、ゴールまでまだあと30kmもある。 殺意しか感じない。 このコースは自分の実力を圧倒的に凌駕していた。 ウルトラは気合いだけではどうにもならなかった… 片付け中のエイドでリタイア回収バスを待っていると、15分ほどでバスが来て、乗車して次のエイドへ移動。 制限時間に間に合わないランナーを 各エイドで回収していくようだ。 最終ランナーを待つ時間があったので、 往路でスルーしたうどんエイドで、うどんを食べる。 「持ってっていいよ!」と、たけのこの里ももらった。 うどんを食べたら、急に眠くなり そこからは車内で爆睡した。 目が覚めると、ゴール会場の近くだった。 窓の外を見ると、 雨に打たれながら走っているランナーが。 必死にゴールを目指すランナー。 それをバスから見ている自分。 これがリタイアするということか。 バスでのんきに寝ていた自分が情けない。 くやしい。 ゴール会場に到着し、体育館でICチップを返却し、 荷物を引き取って着替える。 帰りのバスに乗る前に、 外のテントで配っていた豚汁をいただく。 19:30発のバスに乗り、21時頃に東京に到着。 お尻の筋肉痛が凄まじいので、 座席に座り続けてるのがつらかった… <今回のウルトラ初挑戦での気づき> ・時計を買おう。時間がわからないと困る。 ・軽い靴を買おう。今回履いた靴は重すぎた(420g)。 ・筋トレしよう。筋力なさすぎた。 ・防寒対策を考えよう。雨の日は寒い。 ・ショッツを携行しよう。腹減ってる時が多かった。 ・トイレに行きすぎ。塩熱サプリの食べ過ぎが原因かもしれないので、次回は減らしてみよう。 ・レース中ずっとラジオを聞けるように準備しよう。長時間のランニングは飽きるから暇対策が必須。音楽よりもラジオのほうが飽きなくていい。 なんていうか、 「レース前に知っとけよ」ってことばかりだな… せめて112kmじゃなくて100kmにしておけば…、 と今振り返ると思うけど、まあいいや。 終わったものを嘆いても仕方ない。 野辺山ウルトラで汚名返上の機会があるから、 今回の経験を活かして頑張ろう。 あっ、そう。 冒頭の茂木さんの言葉には 実は続きがあるって、最近知ったんですよ。 「根拠のない自信をもて。それを裏付ける努力をせよ」 すみません、努力ゼロでした! 出直します… 追記)5月の野辺山のレース記はこちら |
by おすもーさん
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